さんずいに歩くと書いて

ローラースケートで駆け抜けてく彼らのこと

先週の日曜日、朝9時半頃のこと

番組が始まってすぐ、明らかにいつもの横尾さんと違うのが分かる。口元がぐっと閉まっていて、表情も硬い。そんな冒頭の彼を見ているだけで、これから流れる映像がどのようなものなのかが伝わってきて、私もぐっと気を引き締める。

どこかで聞いてうっすらと知っていた居た堪れない程に残酷な現実。事実と知りながらも、普段の日常では目を背けてしまい、きちんと知ろうとはしていなかったこと。

それらを、仕事とはいえ自らの足で踏み入り、ありのままの状況を見聞きして知り理解し、それらを自身のフィルターを通してどうにか横尾さんは伝えようとして。

案内されながら、いろんなことが頭の中をめぐっているのか施設の方の言葉を受けるも、なかなかとっさに言葉を返せない横尾さん。いつもの彼は果敢に動物達へ向かっていく印象だけれど、どう接していいのか迷い少し戸惑っているようにも見えた。

最後に彼がカメラの前で見せた表情が全てなんだと思う。耐えられないと言葉をこぼしていた彼は、これが仕事でなければそれ以上先へは進まなかったのかもしれない。どうやって言葉にすればいいのかも分からない感情、そこへ足を踏み入れている今の自分が感じた思いと願い。それらを、ひとつひとつ頭の中で整理しながら自分の言葉にして伝えてくれた彼の思いは、私にはしっかりと届いていたし、きっとテレビの前で見ていた沢山の人に届いていると思う。

楽しいや嬉しいことを伝えるだけがテレビじゃない。どんなに悲しく居た堪れないようなことも、伝えるべきことを伝えるのがテレビなのだと、今回のワンだランドを見ていて痛いほど感じた。伝えることで様々な状況がすぐに変わることはないのかもしれないけれど、ひとりひとりが知ることで少しずつかもしれないけれど変わっていくものだと思う。

私が今回知ったのは、ひとつの局面でしかない。まずは、知らない多くの現実を知らなければならないと改めて考えさせられる。

そんな、ひとつのきっかけとなるべく「伝える」を全うしていた横尾さんのこれからをもっと見つめていたい。